Language:日本語 / English
2018年 vol.18 Issue 2
巻頭言
「はだかの王様」から学ぶ 吉川 和暁
 


原 著
経皮内視鏡的胃瘻造設術後の早期死亡リスク因子についての検討 梶原 祐策
【要旨】
目的:経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)後の早期死亡リスク因子を同定する.
方法:当院で2011年8月1日から2018年3月31日の間,シースダイレーターを用いたIntroducer変法によるPEGを行った466例を対象に後方視的に検討した.まずPEG後30日以内の死亡(早期死亡)率を算出し,次に早期死亡に相関する因子を調べるために目的変数を早期死亡か否か,説明変数を年齢および血清アルブミン(Alb)値,ヘモグロビン(Hb)値,血中脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値,血清C反応性蛋白(CRP)値としてロジスティック回帰分析を行った.
結果:PEG後の早期死亡率は6.9%(32/466)であった.多変量解析の結果,血清CRP値(≥6.7 mg/dL)およびHb値(≤11.8 g/dL),Alb値(≤3.1 g/dL)の調整オッズ比はそれぞれ4.78[95%信頼区間,2.10–10.9;p <0.001],4.98[95%信頼区間,1.42–17.5;p <0.05],2.88[95%信頼区間,1.19–6.94;p <0.05]と判明した.
結論:血清CRP高値,Hb低値,血清Alb低値が独立してPEG後の高い早期死亡率に関連していた.


キーワード:経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG),早期死亡,C反応性蛋白(CRP),ヘモグロビン,アルブミン

短 報
院内がん登録業務としての当院がん治療成績の解析
―限局性前立腺がん放射線療法と乳がん乳房温存療法について―
坪 浩史
真里谷 靖
【要旨】
当院における限局性前立腺がん放射線療法と乳がん乳房温存療法の治療成績について院内がん登録のデータから生存率を求め検討したところ、全国標準レベルであることが確認された。今後がん全般の治療成績についても広く検討を進めていきたい。

キーワード:生存率、放射線療法、乳房温存療法、院内がん登録

チームカンファレンス実施に向けての取り組み
~医師とのカンファレンス実施に向けて~
田中ひとみ
【要旨】
当院看護局は目標管理を実践している。看護師長は年度末に実践報告会と題し、自部署の課題解決に向けた取り組みとその成果をプレゼンテーションしている。今回、病院機能評価の判定結果を受け平成29年度の自己目標に集中治療室におけるチームカンファレンス実施を掲げ取り組んだので報告する。

キーワード:目標管理、病院機能評価、チームカンファレンス

むつ総合病院での下肢CT-Angiography
―Test injection法による造影タイミング適正化の試みー
深谷 修平
川村 一次
武尾 一範
濱田 浩平
神 圭介
山上 博文
真里谷 靖
【抄録】
むつ総合病院中央放射線科では,下肢CT angiographyを撮影時間固定法により行っていた。しかし、患者の血流状態により適切なタイミングで撮影できない事例がみられたため、2015年より被ばくを抑えつつ適正な造影・撮影タイミングが得られるtest injection法を試みた結果、適切な造影剤量で良好な結果を得ることが出来たので報告する。

キーワード:CTアンギオグラフィー(CT-A)、テストインジェクション法(TI法)、造影剤、時間―造影効果曲線(TEC)


症例報告
著明な変化をきたす難治性小腸瘻を形成した一症例 市ノ渡 美香
川原 美由紀
橋爪 正
【要旨】
手術後の消化管皮膚瘻は栄養管理の発展などにより減少している。悪性腫瘍の進行等により瘻孔が自然発生した場合は、消化液の漏出による皮膚障害、便臭が問題となる。在院日数の短縮・瘻孔患者の死亡率の低下により、瘻孔を持ったまま在宅で生活しなければならない患者も増えている。自然発生した消化管皮膚瘻は、患者は視認しにくく、平坦なため排泄物の漏れが生じ管理困難となる事が多い。本症例で下腹部に発生した難治性小腸瘻は、著明な変化をきたし頻繁なケアの変更が必要であったが、訪問看護師と連携を図ることで在宅での生活を継続する事ができた。

キーワード:小腸瘻、パウチング、多職種連携

業務報告
地域包括ケア病棟におけるリハビリテーション実施状況 村木 尚子
相馬 光明
成田 愛子
【要旨】
「地域包括ケアシステム」の構築が進むなか、2014年度診療報酬改訂において地域包括ケアを支えていくために「地域包括ケア病棟」が新設された。地域包括ケア病棟の機能は、急性期病床からの患者の受け入れ(post-acute)、在宅・施設等からの緊急患者の受け入れ(sub-acute)、在宅復帰支援の3つである。
当院においても2017年11月より一般病棟の一部を転換し、地域包括ケア病棟を開設した。リハビリテーションは在宅復帰支援での関わりが大きく、一般病棟から地域包括ケア病棟転棟後もリハビリテーションを継続する患者は多い。今回、開設後6ヶ月の地域包括ケア病棟におけるリハビリテーション実施状況を調査した。地域包括ケア病棟では一般病棟より転棟した患者の約3割がリハビリテーションを実施していた。平均算定単位数は2.28単位で地域包括ケア病棟でのリハビリテーション実施基準である2単位は満たしていた。在宅復帰率は66.2%であり、3割程度の患者は他院への転院となっていた。地域包括ケア病棟の施設基準では在宅復帰率は7割以上とされており、リハビリテーション実施患者に関しては基準を満たせていなかった。
 地域包括ケア病棟は在宅復帰支援が大きな役割であるが、当院ではその機能を十分に発揮するためにはまだまだ課題は多い。今後さらに詳細な調査を実施し、地域包括ケア病棟における課題をより明らかにし、リハビリテーションスタッフとしての関わり方を検討したい。

キーワード:地域包括ケアシステム,地域包括ケア病棟,在宅復帰支援,多職種連携

当院における心エコー検査の動向 相馬 和美
【要旨】
近年高齢化に伴い、より非侵襲的な検査、治療が求められている。その中でも繰り返し行える心臓超音波検査の必要性は今後ますます拡大し、その検査件数は年々増加している。超音波検査の種類も心臓に限らず、頸動脈、下肢静脈と多岐に渡り、今後ますます超音波検査に携る技師の責任、重要性は大きくなる。

キーワード:心エコー検査、高齢化

地域包括ケア病棟開設に向けての取り組み
―開設から半年が経過しての報告―
杉山聖子
【要旨】
少子高齢化に伴い、慢性疾患患者への対応や、一人暮らし高齢者の増加で地域医療を取り巻く環境など、病院の果たす役割が変化してきている。そのため、これまでの病気を治す事を主眼とした急性期医療に加え、病気とうまくつきあっていきながら、出来うる限り住み慣れた地域で生活が続けられるよう、地域包括システムの構築ケアをするための支援が求められてきている。
むつ総合病院では、平成29年1月、地域包括ケア病棟導入プロジェクトを立ち上げ、導入に向けて取り組むことになった。平成29年11月に地域包括ケア病棟として稼動し、半年間の経過をここに報告する。

キーワード:地域包括ケア病棟、ベッドコントロール、退院支援

むつ総合病院中央放射線科におけるモダリテイ別業務状況・第3報
“平成29年度”
山上 博文
久保田光昭
坂本 大輔
米沼 貴之
川村 一次
米田 竜二
真里谷 靖
【抄録】
むつ総合病院中央放射線科における,モダリテイ別の業務状況について検討・報告した。第1報・第2報に続き,業務の効率化と改善を通じ地域基幹病院の一員としての役割を担うことを考えた。

キーワード:業務報告、活動報告、放射線診断、放射線治療

2017年度 薬剤科業務報告書 矢田 康司
藤沢 希世子
髙橋 千鶴
萩野 晃生
【要旨】
当院はがん診療連携拠点病院に指定されており、下北圏内の癌治療の中核として、質の高いがん医療を提供するという責務を担っている。むつ総合病院薬剤科(当科)では、2010年10月から薬剤師が外来・入院の化学療法の無菌調製を行い、その中でより高い安全性を追求しながら改善を行ってきた。今回、我々は化学療法における薬剤科での活動内容をまとめ、これを中心に2017年度の業務実績の集計と評価を行ったので報告する。

キーワード:化学療法、がん化学療法、疑義照会

栄養管理科 平成29年度業績報告 澤田あゆみ
八戸 希
濱田 夏希
高野 郁子
西井 望
松本 華子
【要旨】
平成29年度の入院食事療養費(Ⅰ)は昨年度に比べると食数に大きな変化はなかった。しかし、年齢層・疾患により、一般食と特別治療食の割合に変化が見受けられる。栄養食事指導件数は減少傾向にあるが、新規依頼の患者さんの継続を積極的にアプローチしていくことが課題である。

キーワード:入院時食事療養費(Ⅰ)、栄養食事指導

当院における臨床工学科の役割 石川 禎香
福島 幸子
熊谷 幸恵
佐々木沙織
阿部 一晃
【要旨】
2017年度の臨床工学科の業務統計について報告した。
臨床工学科では、主に機器管理業務、循環器業務、血液浄化業務を行っている。
機器管理業務では、ポンプ類の点検等は変動なく推移していた。呼吸器ラウンドと生体情報モニター類の点検依頼が増加傾向にあった。循環器業務は、ペースメーカー関連業務が増加傾向にあった。血液浄化業務に関しては、透析装置増床に伴い件数も増加し、血液透析以外の治療依頼も増加傾向にあった。

キーワード:臨床工学科、機器管理、血液浄化




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