Language:日本語 / English
2018年 vol.18 Issue 1
巻頭言
高齢化社会の療養環境と看護 甲田久美子
 


原 著
マンパワー不足の地域中核病院における産後2週間健診を目指した取り組み 川村静香
吉村禎子
八嶋三由紀
【要旨】
産後、孤独な育児に悩む母親は多く、出産直後は育児への重圧が重なり精神的にも不安定になりやすい状況にあると言われている。しかし、限られた人材、時間の中で退院後の母親を支援する「産後ケア」は確立していないのが現状である。
今回、母親の産後2週間の現状、産後2週間健診の効果と課題を明らかにするため産後2週間健診を実施した。その結果、家族の支援が受けられる環境にあっても育児不安は高く、育児不安軽減のための産後ケアが必要であり、病棟助産師が健診を実施することは退院後に出現した育児不安の軽減に効果が伺われた。導入には業務改善や実施方法などの具体策が必要であり、また地域の産後ケア事業充実への働きが課題として明らかとなった。

キーワード:産後2週間健診、産後うつ、マンパワー不足

内科外来待ち時間の改善に向けた取り組み
-苦痛なく待てる外来になるために-
三浦 香奈子
玉澤 佳澄
澤畑久子
松谷美緒
和田牧子
杉山由美子
【要旨】
内科外来は一日平均200人程度の受診患者がおり、待ち時間調査では平均4~5時間の待ち時間となっている。そこで平成28年度、長時間の待ち時間を患者がどのように感じているのかを明らかにするため、アンケート調査による看護研究を行った。平成29年、待ち時間プロジェクトチームが設立され、アンケート調査から明らかになった事を踏まえ、改善策を立て取り組んだので報告する。


キーワード:外来待ち時間、患者サービス、待合室アメニティー

実習指導に対する研修会を行った看護職員への意識調査 杉山由美子
松野洋子
米田美穂子
【要旨】
A病院では実習指導受け入れを開始してから7年目を迎える。実習指導者チーム会は、病院全体で学生を育てることを目標に取り組んでいる。毎年行っているアンケート調査の結果から、実習指導を苦手と思っている看護職員が増加していることが分かった。その一方で6割の看護職員が実習指導の研修会に興味を持っていることがわかり、研修会開催の必要性を感じた。そこで、実習指導に対する苦手意識を減少することで効果的な実習指導につなげることを目的に研修会を行った。その結果、研修会は看護職員の実習指導に対する苦手意識に有効性はなかったが、個々の看護職員の自己啓発や学生への関心といった行動レベルの変化に有効であることが明らかになったので報告する。


キーワード:実習指導,スタッフ教育,研修会

心臓カテーテル室における看護師の声かけに関する一考察 立石 朋子
佐々木 真希
室舘 望
【要旨】
現在、心臓カテーテル検査前訪問は実施をしていない。検査開始直前に検査中の体動制限や身体的・精神的苦痛の表出方法について短時間で説明し,検査中も声掛けはしている。しかし,何も訴えずに急に動き出す患者もいる。そこで,看護師が行っている声掛けの効果をアンケート調査した。その結果、心臓カテーテルの看護師の声掛けは、患者の緊張を緩和し、患者が自分の思考を表現しやすくするのに効果的であると考えられた。


キーワード:心臓カテーテル 声掛け 緊張緩和

大腸内視鏡的粘膜下層剥離術(大腸ESD)時の保温に関する取り組み 西田 由佳子
工藤 恭介
川口 悠美子
【要旨】
A病院では、大腸ESD中患者は上半身にガウンタイプの肌着、下半身は膝までのハーフズボンタイプの穴あき検査用トランクスを着用して検査を受ける。そのため、下半身は検査用トランクスのみとなり露出部分が多いまま手術を受ける事になる。手術時間は平均82分間で、皮膚に露出部分があり数回体位変換を強いられるため患者への掛物等による保温は難しい。そこで、露出を少なくすれば寒く感じずに手術を受けられのではないかと考えた。
今回我々は、大腸検査用トランクスと足カバーで保温につながる可能性について検証した。その結果、足カバーの有無で腋窩温はほぼ変わらなかったものの、下腿や足背は保温が有効となった。足カバーを履いた患者からの自覚的な評価も高かったため、このような手法による保温対策を継続していくことが重要と考えられた。


キーワード:大腸ESD 足カバー 温度変化

ピンクリボンプロジェクトの効果
~乳がん検診受診者数の増加を目指して~
徳田暁子
石川利一
瀬川英之
鍋谷久美子
工藤和彦
木村公子
辻郁子
品木貴子
佐藤めぐみ
徳理恵
外崎美佳子
品木愛美
高橋里佳
大熊真波
井田周作
【要旨】
乳がんは日本人女性の11人に1人が罹患する時代になった。乳がんの罹患者は30代後半から増え始め、40歳代後半から50歳代でピークを迎えるとともに、30歳から64歳の死因の1位なっている。乳がんは早期発見、早期治療が大切であり、乳がん検診や自己触診が有効な手段とされている。乳がん受診率が低いむつ市において、乳がん受診者数増加のために重点的な取り組みが必要と考え、プロジェクトチームによる啓発活動を行った結果、増加につながった。


キーワード:乳がん 検診受診 啓発活動 プロジェクトチーム


短 報
当科における嚥下内視鏡検査および嚥下造影検査の考え方 梶原 祐策
【要旨】
代表的な嚥下機能検査法として嚥下内視鏡検査(VE)と嚥下造影検査(VF)があるが,当科では情報の質と量に着目してVFをゴールドスタンダードに位置づけている.VFでの評価において筆者が特に注意しているのは,①喉頭侵入・誤嚥の有無とそれらに関連する②嚥下反射の惹起遅延の有無,③食道入口部の残留の程度である.一方,VEでの評価において筆者が特に注意しているのは,①下咽頭の唾液貯留と②声門の運動,③悪性腫瘍の有無である.なかでも前処置として鼻腔の表面麻酔を行ったVEにおいて,梨状窩の唾液貯留の有無は簡便かつ客観性が高い評価項目であり,嚥下障害のスクリーニングへの活用を勧める.



キーワード:嚥下内視鏡検査,嚥下造影検査, 嚥下機能検査法

病院給食献立改善の試み
西井望
澤田あゆみ
八戸希
濱田夏希
高野郁子
松本華子
【要旨】
栄養管理科内のミーティングにて、出産後のお祝膳は「特別感がない」との意見があり、アンケート調査を実施した。アンケート調査は、平成29年9月15日から同年11月17日の期間にお祝膳を食べた方62名を対象に行った。その結果30名の方から回答が得られ、その90%は満足しているとの回答だった。特に不満はなかったものの、「通常メニューとは別に特別なメニューが食べたい」との回答もあったことから、献立や食器に関して検討した。お祝膳の献立を定番の献立で提供する事を課題とした。献立は食べてみたいと回答が多かったビーフステーキで試作を繰り返したが、肉が固いという意見もあり、ほかの献立案とも併せて今後も調理師と検討を重ねていきたい。



キーワード:病院給食、出産、お祝膳


報 告
放射線看護課程受講からの学び 坂本 真妃
【要旨】
放射線科外来看護師は放射線診断・放射線療法に関わり、様々な検査や防護方法について知識を深め、放射線の正しい理解が必要である。また診断・治療どちらの場合も、チーム医療と離して考えることはできない。医師・診療放射線技師と共に、患者を中心としたチーム医療に携わっていくため、そして患者に最善となる看護が提供できるように、研修を受講しその学びを報告する。


キーワード: 放射線、放射線療法、チーム医療


話 題
理念(目標)の働き 坂井 哲博

回転型強度変調放射線療法(VMAT)でCCRTを行った子宮頸癌の2症例 水沼 槇人


業務報告
業績報告2017




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