Language:日本語 / English
2017年 vol.17 Issue 1
巻頭言
「科学的である」ということ 坂井 哲博
 
総 説
むつ総合病院看護局の教育体制
 -教育担当の実践と思いをつなぐー
徳田 暁子
白濱 里美
甲田久美子
菅原 典子
【要旨】
むつ総合病院看護局に教育委員会が発足してから、25年目を迎える。日本看護協会『看護者の倫理綱領』条文8に「看護者が、計画的にたゆみなく専門職業人として研鑽に励み、能力の維持・開発に努めることは、看護者自らの責任ならびに責務である」と謳われている。教育担当は研鑽の場を提供するために、プリセプターシップの導入、目標管理、クリニカルラダーの導入・見直しなどさまざまな取り組みを行ってきた。その時代の教育担当が先輩たちの思いを継続しつつも、時代の変化に合わせ新たな取り組みや改革を実践してきたことを報告する。

キーワード: 教育担当 思い 継続

原 著
下北半島の透析医療の現状と今後の展望 吉川 和暁
【要旨】
むつ総合病院の血液透析は、昭和47年に開始されてから増床を重ねて、平成23年に30床を確保し現在に至っている。 平成6年には大間病院、平成16年にはたなか泌尿器科クリニック、のへじクリニックが透析開始し、下北半島の透析医療は充足された。しかし、近年の慢性腎不全患者の増加により施設は飽和状態へと追い込まれた。現在では三沢(得居泌尿器科医院)や青森(鷹揚郷青森病院・青森腎泌尿器科クリニック・北川ひ尿器科クリニック)への通院や転院を勧めている。最近では腹膜透析患者も増加し、平成28年4月現在下北半島の透析患者数は249名に達した。この現状を受けて、当院の透析ベッド拡充を求める市民運動が高まり、平成29年4月に50床を有する血液浄化センターが開設する。開設後は段階的に患者受け入れを計画しているが、下北半島すべての透析患者を受け入れることは不可能であり、今後も近隣の透析施設との連携が必要と思われる。

キーワード: 下北半島 血液透析 血液浄化センター


メンタルヘルス科病棟における認知症ケア改善の取り組み
~パーソンセンタードケアを用いて~
大坂 浩之
清水 両
杉山由美子
【要旨】
世界中で人口の高齢化が進み、認知症と診断される人が増加している。A病院メンタルヘルス科においても、入院患者数における認知症の割合が、2010年は9%であったのに対し、2015年は24%と増加している。
メンタルヘルス科に勤務する看護職員を対象に認知症ケアに関する認識度調査をした結果、多くの者が認知症の対応に困難さを感じ、また、理念を知る者がいないことが明らかになった。そのためまず認知症ケアの理念や方針を明確にすることが必要と考えた。
認知症ケアの理念に、「パーソンセンタードケア」という考え方がある。これは、認知症の人の言動は脳の障害によるものだけではなく、その人の生活歴や性格、健康状態、環境など様々な背景が影響し合って認知症の人の今の状態が生じている。そのため様々な情報を得て、本人の視点に立ち、ケアを工夫していくというものである。この認知症ケアの理念を導入することによって、理念に基づき患者を中心に据えた関わりができるか否かを検証したので報告する。

キーワード: 認知症 パーソンセンタードケア メンタルヘルス科 VIPS


地域ネットワークによる空間放射線量率測定結果・初期報告 奥川 満彦
甲田久美子
真里谷 靖
中村 敏也
Andrzej Wojcik
【要旨】
我々は原子力関連施設が点在する下北地域の5施設による地域ネットワークを構築し空間放射線量率の定点測定を実施しているが、今回は初期の測定結果について報告する。
 本研究の目的は、上述の地域ネットワークに加え、共同研究期間である弘前大学大学院保健学研究科及びストックホルム大学放射線防護研究センターとの間で広域、国際的連携をはかり、原子力災害を含めた何らかの事象発生時の危機管理に貢献すること、さらに平時の空間放射線量率データを蓄積し将来的に役立つ基礎的な資料を準備しておくことである。また地域に対する教育的見地からは、日常的に空間放射線量率測定に関わることによるスタッフの基礎知識の向上と、このようなネットワークの存在と意義について危急時の活用法も含め地域住民に対して周知を図っていくことも重要な目的である。

キーワード: 放射線量測定 下北地域 地域ネットワーク 国際ネットワーク
 
症例報告
Helicobacter pyloriに対する除菌治療においてJarisch-Herxheimer反応が疑われた2例 梶原 祐策
【要旨】
Helicobacter pylori(H. pylori)に対する除菌治療においてJarisch-Herxheimer反応(JHR)が疑われる,発熱を伴った上腹部痛の2例を経験したので報告する.症例1は67歳女性で,胃潰瘍の治療後に除菌治療としてランソプラゾール・アモキシシリン・クラリスロマイシンによる3剤併用療法を開始すると,3日目に上腹部痛が生じた.症例2は47歳女性で,慢性胃炎に対してボノプラザン・アモキシシリン・クラリスロマイシンによる3剤併用療法を開始すると,2日目に38℃台の発熱を伴った上腹部痛が生じた.ともに各種検査で特異的な異常所見はなく,除菌治療を中止して対症療法を行った結果,速やかに症状は消失した.また,わずか2~3日の治療期間で除菌に成功していたことから,除菌治療開始後早期にH. pyloriが死滅し,死菌に対する炎症反応,すなわち胃で生じたJHRが示唆される.

キーワード: Jarisch-Herxheimer反応 ヘリコバクター・ピロリ 除菌


研修医症例検討会抄録
 褐色細胞腫切除術における麻酔管理の1症例 沖田 和貴
 冠攣縮による虚血性心筋症の1例 神田 大周
 術前化学放射線療法を施行した再発大腸SM2癌の1例 菊地 良
 心室細動、心肺停止から蘇生した冠攣縮性狭心症の1例 岸 賢治
 腸管切除を免れた腸閉塞の1例 久保田 隼介
 交通外傷により、腸間膜損傷を生じた1例 久保田 愛美
 転倒により不安定型骨盤輸骨折をきたした1例 久保田 実怜
 ボタン電池3個を誤飲し内視鏡的に摘除を試みた1例 田辺 千織


2016年業績報告



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