【2011年10月14日】 タイトル: 研修医日記 Vol.170

 こんにちは。研修医2年目の太田です。
 むつ総合病院の研修医2年目は、1ヶ月間地域医療を研修することになっています。その地域医療研修のため、9月4日から10月2日までの4週間沖縄に行っていました。
 4週間のうち初めの3週間は沖縄県北部病院で、残りの1週間は伊是名島という離島で、それぞれ研修をしてきました。今回はその伊是名島での研修について書きたいと思います。

 伊是名島は沖縄県の北部にある離島で、面積15平方キロメートル、人口1,494人の小さな島です。島には診療所がひとつだけ、医師も一人だけです。

 離島の診療所といえばほとんどの人が「Dr.コトー診療所」という話を思い出すとでしょう。現在単行本が23巻まで出ている漫画で、2003年と2006年にテレビドラマ化もされています。テレビドラマ「Dr.コトー」のロケ地は与那国島。主人公である診療所の医師は吉岡秀隆が、診療所の看護師は柴咲コウが演じていました。

 柴咲コウは、私が言うまでもないですが美人です。
「柴咲コウが診療所の看護師なら、離島やへき地に医師不足が発生するはずがないだろう」テレビドラマが放送されていた当時、私はそんなことを考えていました。


 そして今回の伊是名島診療所です。
 診療所の医師はS先生。10年以上伊是名島に住んで島民の健康を守っています。
看護師はNさん。当然柴咲コウではありませんが、同じく長年島民の健康を守っています。そして事務の2名を含めた4名で、伊是名診療所は運営されていました。
わずか一週間の研修でしたが、診療所の方々には本当にお世話になりました。S先生には医学的な指導はもちろん、プライベートで何度も食事をごちそうになりました。看護師のNさんには、最終日寝る場所がなかった私を家に泊めてまでいただきました。


もしNさんがもっとアクが強く角の立った看護師であれば、S先生も伊是名島に10年以上残ることはなかったかもしれません。同じくS先生が神経質でトゲのある医師であれば、Nさんもいつまででも伊是名診療所で働いていなかった可能性があります。
だとすれば伊是名島の医療は、診療所に勤める方々の性格によって支えられていることになります。雰囲気の良い職場なら働きたいし、嫌な奴がいるところでは誰も働きたくない。勤務する方々のおだやかな性格がよい雰囲気を作り出し、それによって医師も看護師も気持ち良く働ける。そして島の医療が安定して継続する・・・。

柴咲コウの看護師実現は無理ですが、人柄でもかなり良い状態は作れるようです。
結局人柄なんだなあ、と考えさせられた1週間でもありました。

最後に伊是名島の全ての方々へ。大変お世話になりました。どうもありがとうございます。

研修医2年目 太田 圭一